貫き通した純愛2
そう、今は二人で笑いあえています。
私が蚊帳の外というのはこの際、むかつきますが置いておきます。
何故なら、この二人が二人の力だけで乗り切ったという絆というかお互いを思う愛の強さが、はっきりとあるからです。
その出来事に関しては、最後の最後、クライマックスを除いては私は完全に部外者。
なので、私は踏み込むことが出来ません。
いえ、絶対に踏み込んではいけない、いわば聖域とも言える場所なのです。
ちなみに、この二人はもう、私以外誰も血のつながった味方がいません(余談ですが、私もこの二人と遠縁に当たります)。
私も、一族を捨てました。
なので、頼るべき親族は誰もいません。
頼れるものはお互いを想う気持ちと、だーさんの知識や技術、そして、それぞれの収入くらいなもの。
多数の激しく辛い障害を乗り越え、故郷を捨て、ようやくたどり着き安住した地。
そこには、私とあっぽの知り合いは誰もいませんでした。
だーさんは、かつての知り合いがその県に何人か居たそうなので、その人達に頼んで色んな手配をしてくれていました。
その後、どうやらその人達も引っ越してしまったそうなので、だーさんもある意味孤独状態になりましたが。
三人とも新しく人脈を築きつつあるとは言え、何も知らない誰も知らないような場所で生きていこうとするのは、相当の覚悟と努力、そしてお互いを思う強さがないとやっていけません。
だーさんですら、長く住んでいたわけではないし知人も居なくなったからと一時期は不安を表出していましたし。
正直、私は最初この場所は怖かったです。
新幹線の止まる駅から近いとはいえ、標準語が通じる地域であるとはいえ、せいぜいガイドブックくらいでしか見たことのない場所。
見る物聞く物すべてが知らない物でした。
関東にあったTSUTAYAはない(フタバ図書というのが、その代わりのようですが)。
コンビニだってセブンイレブンやローソンが主流ではない。
デパートやスーパーも、ゆめタウンとか福屋って何ですか?
食生活も違うし、生活習慣も、何もかもが、それまで住んでいた地域とは違いました。
常識すらも。
でも、だーさんがこの地域にかつて住んでいたことがあったので、そのわずかな記憶と知識だけを信じて。
そして、いざとなったら慣れるまでは隣近所に迷惑を掛けてでも色々聞いて回ろうと言うことで一致したのです。
でなければ、ここには住んでいなかったでしょう。