貫き通した純愛13
事はそんなに簡単には治まりませんでした。
この時点で、Gも母親も、あっぽには近付いてはいけないという命令が下されていたため、安心していたのも無理は無いことです。
しかし、そこで更に思わぬことをやらかすのが、キチガイというものです。
そう、四六時中あっぽに警察官やガードマンがくっついているわけではありません。
ましてや、注意文が出されているとはいえ、あっぽの祖母も味方とはいえません。
祖母が、あっぽの留守中にGや母親を招き入れたり、事もあろうにあっぽの部屋に入れたりしていたのです。
何と言いましょうか、家系的にキチガイです。
ある意味、あっぽの将来も心配な点でもありますが、それはだーさんが受け入れていくとして。
あっぽの部屋でG達がおこなっていたことは、結局不明のままでしたが、何となくだーさんは勘付いていたようです。
しかし、ここでまた距離の壁が出てしまうため・・・だーさんは、一計を案じました。
あっぽが危険な場所に居続けるのが問題なのであれば、そこから遠ざけてしまえばいい。
そう、だーさんの元に転校させてしまえば良いのです。
だーさんは、あっぽと連絡を調整しつつ、教育委員会や役所などにも話を通しておきました。
とんでもない行動力です。
しかし、一個だけ厄介なことがあったのです。
あっぽは受験生。
ですが、時期としてももう一般入試しか考えられない。
でも、この一件などがあったため、受験勉強もろくに出来ていなかったのです。
最悪、フリースクールや夜間高校などを視野に入れる形として、密かに作戦は進んでいきました。
そして、ある日。
あっぽは登校したふりをして、家の近所で待っていただーさん達のトラックに乗り込みました。
この日だーさんが集めたトラックは五台。
どれも、仕事先で使っている車輌だったのですが、だーさんは今回ばかりは同僚だけでなく上司にも相談。
快く承諾してくれ、わざわざ本州の端っこから来てくれたというのですから、さすが男らしい職場です。
待つことしばし。
あっぽの祖父母が出掛けた時を見計らって、全員が家の中に入り込みました。
ひたすらに、あっぽの所持品、あっぽに関わる書類など全てを選り分けて運び出しました。
そして、あっぽは一通の置き手紙を残して、悪夢の住処を後にすることとなったのです。
この時点で、あっぽは携帯を解約していました。
残される妹の存在は気にかかるところでしたが、その妹も実は、姉さん(実質の姉ではありませんが)の元に引き取られる話を進めていたのです。
こちらは、養子縁組という形で。
しかも、だーさんの住んでいる家の近所です。
さて。
あっぽは、だーさんの運転するトラックの中で、ひたすら泣きじゃくっていました・・・ではなく、案外落ち着いた様子で淡々と話をしていたそうです。
振り返れば振り返るほど、Gを始めとしたキチガイ達のやっていたことが、許せなくて仕方ない、と。
殺せるものなら殺したい、と。
冷静な口調で、ただ淡々と。
だーさんはそれを聞きながら、全てがこれで終わったこと、もう何にも心配はいらないこと。
妹も近所で引き取ってもらうこと。
決して、追って来られない場所に住むこと。
忘れようとしても忘れられないものは、無理に忘れなくてもいいこと。
もう、ずっと一緒だから、大丈夫だから、と。
そしてここで私リューネの登場となるのです。