貫き通した純愛13

2013年10月08日 17:12

事はそんなに簡単には治まりませんでした。

この時点で、Gも母親も、あっぽには近付いてはいけないという命令が下されていたため、安心していたのも無理は無いことです。

しかし、そこで更に思わぬことをやらかすのが、キチガイというものです。

そう、四六時中あっぽに警察官やガードマンがくっついているわけではありません。

ましてや、注意文が出されているとはいえ、あっぽの祖母も味方とはいえません。

 

祖母が、あっぽの留守中にGや母親を招き入れたり、事もあろうにあっぽの部屋に入れたりしていたのです。

何と言いましょうか、家系的にキチガイです。

 

ある意味、あっぽの将来も心配な点でもありますが、それはだーさんが受け入れていくとして。

 

あっぽの部屋でG達がおこなっていたことは、結局不明のままでしたが、何となくだーさんは勘付いていたようです。

しかし、ここでまた距離の壁が出てしまうため・・・だーさんは、一計を案じました。

あっぽが危険な場所に居続けるのが問題なのであれば、そこから遠ざけてしまえばいい。

そう、だーさんの元に転校させてしまえば良いのです。

 

だーさんは、あっぽと連絡を調整しつつ、教育委員会や役所などにも話を通しておきました。

とんでもない行動力です。

しかし、一個だけ厄介なことがあったのです。

あっぽは受験生。

ですが、時期としてももう一般入試しか考えられない。

でも、この一件などがあったため、受験勉強もろくに出来ていなかったのです。

最悪、フリースクールや夜間高校などを視野に入れる形として、密かに作戦は進んでいきました。

 

そして、ある日。

あっぽは登校したふりをして、家の近所で待っていただーさん達のトラックに乗り込みました。

この日だーさんが集めたトラックは五台。

どれも、仕事先で使っている車輌だったのですが、だーさんは今回ばかりは同僚だけでなく上司にも相談。

快く承諾してくれ、わざわざ本州の端っこから来てくれたというのですから、さすが男らしい職場です。

 

待つことしばし。

あっぽの祖父母が出掛けた時を見計らって、全員が家の中に入り込みました。

ひたすらに、あっぽの所持品、あっぽに関わる書類など全てを選り分けて運び出しました。

そして、あっぽは一通の置き手紙を残して、悪夢の住処を後にすることとなったのです。

この時点で、あっぽは携帯を解約していました。

 

残される妹の存在は気にかかるところでしたが、その妹も実は、姉さん(実質の姉ではありませんが)の元に引き取られる話を進めていたのです。

こちらは、養子縁組という形で。

しかも、だーさんの住んでいる家の近所です。

 

さて。

あっぽは、だーさんの運転するトラックの中で、ひたすら泣きじゃくっていました・・・ではなく、案外落ち着いた様子で淡々と話をしていたそうです。

振り返れば振り返るほど、Gを始めとしたキチガイ達のやっていたことが、許せなくて仕方ない、と。

殺せるものなら殺したい、と。

冷静な口調で、ただ淡々と。

だーさんはそれを聞きながら、全てがこれで終わったこと、もう何にも心配はいらないこと。

妹も近所で引き取ってもらうこと。

決して、追って来られない場所に住むこと。

忘れようとしても忘れられないものは、無理に忘れなくてもいいこと。

もう、ずっと一緒だから、大丈夫だから、と。

 

そしてここで私リューネの登場となるのです。