貫き通した純愛11
だーさんは、周囲を見限りました。
もともと、だーさんは周囲の人間を信用していませんでした。
好きなように人生を弄ばれ、進みたかった道へは学費を出してもらえず、食べたかったものは食べさせてもらえず、やりたかったことは全て制限され、24時間監視され続けられる生活、そんな環境の中で、他者を信用しないで生きてきただーさん。
頼れるものは自分だけだっただーさん。
それでも、血が繋がっているからと見限らないでいた優しさをも持っていただーさん。
でも、今回ばかりは別でした。
だーさんは、逆に告訴を行い、G達と直接対決することにしたのです。
当然、あっぽにもその話は行くことになるのですが・・・(事情聴取などで)。
時は前後して、告訴をすることを決定した直後。
だーさんは、あっぽの通っていた学校で待ち伏せをしようと考えていました。
今の法律上では明らかにストーカーとも言えるような行動を取ろうとしていたのですが、伝えなくてはならないことがあったのです。
今、二人を取り巻いている現状、起きている事象、全てを話して、何とか二人で立ち向かおうかと、持ちかけようとしていたのです。
しかし、だーさんはその気でも、あっぽは果たして同じことを考えるだろうか。
それ以前に、あっぽが果たしてだーさんと会いたいと思っているだろうか。
ひとりよがりで戦うようなことにならないだろうか。
そういった疑念は払拭しきれませんでした。
でも、行かなければ何も変化はないと考えていただーさん。
そんな矢先のこと。
だーさんに非通知でかかってきた一本の電話。
普段だったら絶対に通話ボタンを押さないはずのだーさんが、胸騒ぎを覚えてボタンを押しました。
そう、連絡をしてきたのは、あっぽ。
携帯を没収されても尚、公衆電話から連絡をしてきたのです。
色々とほとぼりが冷め始める頃を見計らって、あっぽも連絡が取れるよう少しずつ準備をしていたのです。
なけなしのお小遣いでテレホンカードを買って、買いためて、それで掛けてきたのです。
もちろん、通話できる時間は、携帯電話相手なので非常に短いです。
だからこそ、相当に考えた末の言葉だけを伝えてきたそうです。
「だーさん?日曜日、いつもの場所で待ってるから、来て!?」
かなり切羽詰まった声だったそうです。
でも、その声を聞いてだーさんは、即返答したのです。
「分かった。必ず」
本当は、その日曜日は勤務日だったのですが、だーさんは職場の同僚に『何も聞かずに変わってくれ』と土下座をして休日出勤を変わってもらったそうです。
そして、日曜日。
いつもの場所というのは、某都市にある某施設です。
だーさんは、実は前日から来ていました。
新幹線を使っても、いつもの待ち合わせ時刻には間に合わないと考えていたからです。
そして、いつもの時間にあっぽも到着。
実に二ヶ月ぶりの再会。
お互いの姿を見て、すぐに抱きしめあったそうです。
あっぽもだーさんも、人の目など関係なく号泣しながら、しばらく抱き合っていました。
この日は、買い物とか遊びは一切なしの予定でしたが、そこはやっぱりストレスの溜まっていた二人。
カラオケルームへと突入しひたすら叫びまくったり、プリクラを連続で撮り合ったり、水族館へ行ったり、結局遊びまくっていたそうです。
でも、重要な話だけはしたそうです。
内容としては。
おそらく裁判沙汰になるだろうし、あっぽにも事情聴取は来るであろうこと。その時、必ず自分自身の意志と言葉を伝えること。
この戦いがどう終わるにしても、一族とは完全に縁を切ることになるのは間違いないこと。そして、二度とお互いの家に上がることはないこと。
どんな結果であろうと、お互いの身内の監視がきつくなるため、二人が逢うのには厳しくなること。
まぁ、ぶっちゃけた話こっそり逢って履歴とか消しておけばいいんだけどね~(実際今も逢ってるし)。
Gと母親は絶対近くに近づけないこと。あっぽは必ず距離を置くこと。
などなど。
お互い、絶対に負けないことを約束して、しばらくの別れとなりました。